2018年 04月 07日
講座「夏目漱石を読む」
2017年 07月 04日
3年前の7月4日(2)
茫々たる薄墨色の世界を、幾条の銀箭が斜めに走るなかを、ひたぶるに濡れて行くわれを、われならぬ人の姿と思えば、詩にもなる。句にも吟まれる。有体なる己を忘れ尽くして純客観に眼をつくる時、始めてわれは画中の人物として、自然の景物と調和を保つ。只降る雨の心苦しくて、踏む足の疲れたる気に掛ける瞬間に、われは既に詩中の人にもあらず…… 『草枕』

いやあ~、ここに描かれたように、雨に濡れた自分を「われならぬ人の姿」とはとうてい思えなくて、全身ずぶ濡れになって吹きなぐる雨の中を「只降る雨の心苦しくて、踏む足の疲れたる気にしながら」熊本の街中を歩いていました。詩人にも俳人にもなれない自分でした。
2014年 08月 19日
今日の「こころ」ー上総の其所一里ー
ねえ、先生、気配りばっかりのいい人でいようとすると、かえって周囲の人を不幸にするってこともあり得るんじゃないかと思ったりするよ。
どうなんだろうか。もし自分がKだったら、あなたの配慮は、なんだか鬱陶しい。「ほっといてくれないかな」と思うよ。

2014年 08月 14日
今日の「こころ」ー Kに対する嫉妬心は、その時にもう充分萌していたのですー
1度ならず2度も、先生の留守に、Kとお嬢さんがKの部屋で話をしていた。先生が玄関をあけて上がってくると笑い声がピタッととまる。2人にお帰りなさいと迎えられる。
先生の嫉妬心に火がつく。
好きな女性が、自分の友人と親しく談笑しているところを目撃するれば、誰だってそうだよね。ただ世間話をしているだけだったのかも知れないけど、嫉妬心というのは妄想を呼ぶからね。

2014年 08月 12日
今日の「こころ」ー 書物で城壁をきずいてその中に立て籠もっていたー
頑なに立て籠もっている親友Kを、お嬢さんの傍に座らせるなんて。
お嬢さんのことで多少夢中になっている先生にとっては、それがどのような事態をもらすか、もう想像してもいいのだろう。先生こそ救済されなければならない病んだこころを抱いていたのに。

2014年 08月 09日
今日の「こころ」ー私は氷を日向へ出して溶かす工夫をしたのですー
先生のKに対する友情は、とても尋常ではないと思う。Kが精神的に病んでいる、頑なに世間との接触を拒んでいる。だから先生が彼のそんな精神を暖かい日向に出して溶かしてやろうと思っている。
これから、2人がどうなっていくのか、知らないよ。(ほんとは知ってるくせにー笑ー)。ひょっとして、先生はKのなかに同じように病んでいる自分を見ていたのではないかな。だから放っておけないんだよ。

8月8日(金)78回
今日の「こころ」はわからない。なんだか自分がエアポケットに入ってしまったような不安に駆られる。
「私が孤独の感に堪えなかった自分の境遇を顧みると、親友の彼を、同じ孤独境遇に置くのは、私に取って忍びない事でした」
ということばだ。自分が3・11以後ず~っと感じて、ず~っと考えて、ちっとも前に進めないでいるのはこのことばなんだと思う。
人が人に対しての絆とか共感というものは、ここまで降りてきて出来るものなんだろう。先生がKをわかろうとしてとことん降りていく。そこでなんで自分はKをそこまでわかろうとしているのか、わかろうとしてかえってわからなくなっていく。
2014年 08月 06日
今日の「こころ」ー彼の前に跪まずく事を敢えてしたのですー
実家からの経済的な援助を断たれたKは、1年半の間、独力で己を支えていった。剛情なKは自らを窮地に追い込んで、意志の力を養って強い人になる道を選ぼうとする。Kのことを親身になって心配する先生は、すこしは遊んだ方がいいと忠告する。そんな忠告には耳を傾けないKに、先生は自分も同じ道を歩こうとしているから、小石川の先生の下宿に一緒に住もうと提案する。強情なKははじめ抵抗するが、先生が「彼の前に跪まずく事を敢えてしてまで勧めたのでKも折れて一緒に住むことになった。

あれ!同じ写真をUPしちゃった。
2014年 08月 05日
今日の「こころ」ーー
Kは、養家から除籍され、養家からやしなってもらった学資は実家で弁償した。そしてKは実家からも勘当される。Kは学生生活を続けるための内職の口をさがす。Kや先生にとっては大問題かも知れないが、現代の眼からみれば、そんなことはたいした問題ではない。学問を続けたければ、それなりの自活の努力をするなんてことは当然のことだ。

2014年 08月 04日
今日の「こころ」ーKと私は同じ科に入学しましたー

Kは、大学に入った1年目の夏休みは故郷に帰らず、駒込の大観音の「傍のきたない寺の中の閉じこもっていました」
2年目の夏は、養家からの催促でしぶしぶ故郷に帰った。でも自分の進路変更についてはなにも言わなかった。帰りは先生と一緒の汽車だった。ふたりとも故郷にはおれなくなる予感のようなものを感じていた。
3年目の夏、先生はもう2度とここには帰らないという決意でで東京に戻る。Kははじめから故郷には帰らなかった。そのかわり、自分は医者を継がないという手紙を養家に出した。ふたりはお互いに大きな運命の変調を感じていた。
2014年 08月 03日
今日の「こころ」ー真宗寺は大変裕福でした ー
真宗の影響が強いということからすると、先生とKの故郷は新潟か富山かな?

ここでKに関する覚え書き。
・先生とは子どもの頃から仲良し
・浄土真宗の勢力の強い地域
・豊かなのお寺の次男としてうまれ、中学校のとき医師の家の養子となる。
・高校の時に上京して先に来ていた先生の下宿で一緒に住むようになる。
・養家の願いを無視して哲学や宗教に打ち込む。
・何事にも精進、一途で頑固、しかもあるときは大胆な彼に先生は畏敬の念をいだく。